島根大学医学部 血液内科

理念

「地域医療と先進医療が調和する大学病院」

島根大学医学部附属病院の掲げる理念を実現するべく、日々の診療にあたっています。

具体的には、島根県に住んでいる方が都会在住の方と変わりない水準の治療が受けられることを目指します。

 

こんな人に向いている

血球減少などを契機に受診し、骨髄検査による診断から治療、その後の経過フォローアップまで行うことも多いです。

診断から治療まで関わって診療をしたい方に向いている診療科です。

 

化学療法が治療の中心となる造血器腫瘍の方の治療が多い特徴があります。

副作用のマネジメントが自然と上達しますが、内科的な全身管理に興味がある方にはより向いていると思います。

 

初期研修で学べること

・血液疾患の診断・治療法・副作用の管理について学ぶ

白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった造血器腫瘍を中心とし、その他ITP・再生不良性貧血・自己免疫性溶血性貧血など、非悪性の血液疾患の方も入院されます。

治癒を目指した化学療法を行うため、長期入院を前提とした治療をする方も多いです。平均して40人前後の方が入院治療をしており、診療チーム主治医の一員として入院患者を担当してもらいます。

初期診断から治療、副作用マネジメントについて臨床チームの上級医とともに実臨床を基に学びます。

 

初期研修の年数や本人の希望によりチーム内の担当患者数は前後しますが、3-7人前後の方を主担当として担当してもらいます。

本人の希望によってより多くの人数を担当してもらうことも可能ですが、浅い理解で多くの方を担当するよりも、少数の担当の方をより深く考察・検討して診療する経験を一度しておくことをおすすめします。

将来他の診療科へ進まれる方も、重症かつ複雑な病態の方を診療する際のアプローチの方法を知っておくことは必ず役に立ちます。

 

また、疾患の治療だけでなく、合併症である感染症の診断・治療、内科的全身管理についても経験する機会が多くあります。

栄養・水分管理、疼痛管理(医療用麻薬の使用方法)、精神的ケアなどの総合的な全身マネジメント力が身につきます。

 

・R-CHOP療法を主軸として、化学療法の方法、副作用管理について学ぶ

腫瘍により治療の選択は異なりますが、頻度の高いB細胞性リンパ腫において多く行われるR-CHOP療法の実施は必ず経験してもらいます。化学療法において注意するべき副作用管理で大事なことを学ぶことができます。

心毒性のあるアントラサイクリン系薬剤を用いるため、事前の心機能評価や過去の化学療法歴のチェックを行う必要があること。

骨髄抑制をきたすレジメンのため、リスク分類を行い、必要に応じて発熱性好中球減少症の予防のためにG-CSF製剤使用を検討したり、発熱性好中球減少症への対応に精通できること。高齢者では併存症や全身状態を見つつ場合により適切に投与量の減量の検討をすること。

高用量のステロイドを使用するレジメンのため、ステロイド使用に伴う副作用予防に精通できること(骨粗鬆症、日和見感染症の予防など)。その他の内科疾患の管理でもステロイド長期使用時の副作用マネジメント力は非常に重要になります。

もちろんR-CHOP療法のみを学ぶことで全ての治療に精通するわけではないですが、化学療法を行う上で必要なエッセンスを学ぶことができます。

 

内科の治療は「薬のさじ加減」という言葉もある通り、多数ある薬剤から望ましいものを選び、適切な量に調節する能力が必要とされます。

抗癌剤を用いた化学療法に精通することは薬のさじ加減の延長線上にあるものと考えます。

 

「抗がん剤は内科医のメスである」

当科診療教授の鈴木律朗先生の言葉ですが、外科治療などが適応とならない悪性腫瘍に対しては抗がん剤を武器に診療を行います。

近年は分子標的薬、抗体薬、細胞療法などそれ以外にも治療方法が出てきていますが、化学療法に慣れることでそういった治療も経験しやすくなります。

 

血液検査の異常に強くなる

血液疾患の方の診療では、白血病の治療中で好中球数が0個の方、Hb 7g/dL未満や血小板数万/μLの方など高度血球減少の方も多くおられます。

高度白血球減少時の感染症の予防や発熱時の対応について学べます。貧血や血小板減少に対する輸血の適応や精査の流れについても身につけ得ることができます。

血球数の異常に対する対応を学べますので、血液内科以外の診療科を志している方も血液検査値の異常に対する対応方法に自信が持てるようになります。また、多少の血球減少では動じない胆力も身につきます。

 

実際の診療風景

週1回全体カンファレンスを行い、新規の入院の方や治療方針に悩む方について全体で検討します。

また、毎日朝と夕方にショートカンファレンスを行っており、緊急入院患者の検討や当直帯への申し送りなども行っています。

 

病棟カンファレンスの風景

週1回の多職種移植カンファレンス

看護師・歯科衛生士・栄養士らとともに移植患者の栄養維持について多角的な面から検討します。

 

カンファレンスイメージ

全体カンファレンス(画像はイメージです)

診療科全体で治療方針について検討します。より望ましい診療を提供することを目指すほか、若手医師にとってはプレゼンテーション能力などを磨く場面にもなります。

 

医局員からの声

チームで診療方針を共有し、治療経過が悩ましい方の治療計画を全体カンファレンスで相談して方針を決定します。

後期研修医からいきなり一人で全てを担当するわけではなく、徐々にステップアップができています。(A医師)

 

夫婦ともに医師共働きで、幼児の子育てもしてます。

土日の血液検査のチェックや輸血が必要な方の実施など、お互いに当直帯に頼める仕事などは分担しています。

家庭と仕事の両立は大変な部分も多いですが、外来診療や入院患者も担当しながら子育ても両立して行えています。(B医師)